Bybitでは、部分強制決済を実施することで、リスク限度レベルを下げて維持証拠金率を引き下げ、結果としてトレーダーのポジション全体が即座に清算されるのを回避しています。
マーク価格が、ポジション欄に表示されている強制決済価格に達すると、強制決済エンジンがポジションの処理を引き継ぎます。
1) 清算エンジンがポジションの処理を引き継ぐと、まず課されているリスク制限レベルをチェックします。
最小のリスク制限が課されていた場合、すべてのアクティブな注文はキャンセルされ、ポジションは清算エンジンに引き継がれます。そして、そのまま清算され、破産価格で決済されます。
より高いリスク制限が課されていた場合、強制決済エンジンは以下の手順によってポジションの維持証拠金率を低いリスク制限レベルまで動的に引き下げようとします。
a) 現有ポジションとアクティブな注文を維持する一方で、現在のリスク制限を、強制清算を回避できるレベルまで引き下げます。
b) アクティブな注文をすべてキャンセルし、続いて現有ポジションを維持しながら現在のリスク制限を引き下げようとします。
c) 次にシステムはポジションサイズを下げるため、FillOrKill(注文の即時執行またはキャンセル)注文を送信します。注文の額面価格は、現在のポジション価格と強制決済を防ぐための証拠金要件を満たすために必要なリスク制限のポジションサイズとの差額になります。
d) それでもポジションが強制決済を回避できない場合、ポジション全体が強制決済エンジンによって、破産価格で強制決済されます。
2)ポジションが破産価格で強制決済されると、以下の手順が実行されます。
システムが破産価格よりも良い価格でポジションを決済することが出来る場合、ポジションからの残余証拠金は保険基金にまわされます。逆に、システムが破産価格より良い価格でポジションを閉じることが出来ない場合、損失を穴埋めするためにシステムは保険基金の資産を利用します。保険基金の残高が損失を穴埋めするのに不十分な場合、自動デレバレッジ(ADL)が適用されます。
例:
トレーダーAが350 BTCポジション価額+ 200 BTCのアクティブな注文を保持している場合、600 BTCのリスク制限表の第4段階に相当します。マーク価格が強制決済価格に達すると、強制決済エンジンが発動します。
現在のリスク制限を第3段階である450 BTCに引き下げようとして、アクティブな注文を全てキャンセルします。この経緯において、維持証拠金要件が軽減し、新しい強制決済価格になることで強制決済を回避します。
マーク価格が再び新しい強制決済価格に達した場合
a) 強制決済エンジンは、現存の350 BTCポジション価額の50 BTCを部分的に閉じて、300 BTCの第2段階まで軽減し、2度目の強制決済を回避しようとします。
b) 上記のステップ(a)を実行してもまだ強制決済を防ぐことができないとシステムが予測する場合、強制決済エンジンはポジションから現存の200 BTCを部分的に決済し、リスク制限を150 BTCの最低レベルにまで引き下げます。再度この経緯において、ポジションを保持するための新しい強制決済価格と証拠金要件が計算され、最低の維持証拠金要件を反映するように更新されます。
最後に、最低のリスク制限レベルにおいて、マーク価格が再び強制決済価格に達すると、ポジション全体が強制決済エンジンに引き継がれ、破産価格で強制決済されます。